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2008.04.16号
STANDBY! TIMES
2008.04.16
平松洋子
Yoko Hiramatsu

岡山県出身。東京女子大学文理学部社会学科卒業。日本国内はもとより、世界各国を取材し、食文化と暮らしの関わりをテーマに雑誌、新聞、書籍等で幅広く執筆活動を行っている。近著に「ひとりひとりの味」(理論社)、「おとなの味」(平凡社)。

ひとつの味の中に人の姿がある

 何気ない日常の生活の大切さ、いとおしさを独自の観点から捉え綴ったエッセイが多くの女性から支持を得ている、フードジャーナリスト、エッセイストの平松洋子さん。
 執筆する上でのこだわりや、何か特別な思いのようなものはあるのでしょうか 。

 「国内外を問わず、取材に行くと必ず共通して感じるのは、『なるほど、この人がこういう考え方で、こういうやり方をしているからこの味なんだ』ということ。つまり、ひとつの味の中には必ず人の姿がそこにある。仕事をすればするほど確信したことです。私は『こだわる』という言葉はあまり好きではないのですが、重要なのはやはり人だなと。
 あまり堅苦しく決めてしまうとつまらなくなるし、見落とすことがたくさんあるので、『私はここはこういうふうに見る』とは決めないで、人に会う時も書く時も、自分の味覚や経験などいろいろなものを使って把握、知ることが大切だと肝に銘じています。これは何の仕事でも同じだと思うんですよ、意外と難しいことですけどね 」

肥大化する日本人の『翻訳力』

 食文化と暮らしの関わりをテーマに精力的に執筆活動を行っている平松さんですが、取材に行く度に、最近の日本人の食卓に、ある危機感を感じておられるというのです。

 「食べることを楽しむ――それはほかの動物にはない人間だけができる大きな能力ですよね。ことに日本人は、異国のものを翻訳して、技術や知恵を加えて自国の文化に取り込んでいく、ある種の寛容性―私は『翻訳力』といっているんですけど―日本人のその才能は凄い。カレーにしても、外から伝わってきたものを見事に国民食として定着させた。それはほかの国ではなかなか見られない能力ですよね。でも最近、そこが肥大化しているなと感じるんです。それによって、漬物や味噌など、人の手の力だけでは作れない発酵食品を食べこなす力がとても弱くなり、日本人の食卓自体が脆弱になっているなと…。
 家庭の会話の中で『今日は中華?それともパスタにする?』なんて日本くらいで、世界中のどこの国でも聞きません。韓国では近所の人が集まってキムチを仕込んだり、醤油や味噌も自分で作り、自分の家の味の基本にしている。そういうことが日常的に行われていることを知れば知るほど、日本人の食べ物に対する姿勢、作り出す手の知恵が希薄になってきていると感じます。
 食文化は、まず家の味ありき。和食の出汁って、口に含んだ時に鰹節やいりこの香りがして、自分の味覚が豊かに広がっていくかのよう。あの味は日本人の一つの能力ですよね。それがなくなっていってしまうと、何か人間として弱くなっていくような気がします」

 忙しい毎日の中で、インスタント食品を臨機応変に取り入れていくとこは決して悪くはないけれども、なぜ自分はそれに頼っているのかを明確にしておくこと、またある種の工業製品を口に入れているのだと理解しておくことが重要だという平松さん。ものが溢れている現代において、自分が体内に入れる食べ物を客観的に見る目は絶対に必要ですよね。

渡辺万由美 Mayumi Watanabe
東京都出身。渡辺プロダクション創立者の渡辺晋、美佐氏の次女。(株)トップコート代表。木村佳乃、森山直太朗、成宮寛貴をはじめ才能あるアーティストの発掘、育成を手掛けている。
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マッキー牧元の虎のまっきー
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渡辺万由美の『輝くヒトの方程式』
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