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カツラを変えるのではなく、文化を変えたかったんです。
ダンディなお父さんとモヒカン頭の息子、そして腕につけられた毛を思いきり引っ張る映像…平成十五年五月から放映開始された印象的なテレビCMで知られる「ヘアコンタクト」を世界で初めて開発した、株式会社プロピア代表取締役の保知宏さん。
昭和六十三年、保知さんは「ヘアドクター」にFC加盟し、カツラ業界に足を踏み入れました。その後、平成八年九月にFCを脱会し、社名を、スペイン語で「一人一人に合わせた」の意を持つ「プロピア」に変更。翌年十二月、二十人のプロジェクトチームを編成し、「ヘアコンタクト」の開発をスタート。世界を変えるんだ、という強い意志のもと保知さんの戦いが始まりました。
いかに気軽に使えるようになるか
ヘアコンタクトに使用されているフィルムの厚さは〇・〇三ミリ。これは皮膚の表面にある角質層や空気中に飛んでいる花粉と同じ厚さで、汗を吸い上げてフィルムの外に出すという、皮膚と同じような構造になっているとか。
「吸着剤の開発の話を日東電工さんに持ち込んだら、何年かかるかわからない、その覚悟はあるのかと問われましたが、我々がやるのはカツラを薄くすることではなく文化を変えることなんだと、その思いに賛同して下さいました。
そして髪の毛と同じ〇・〇八ミリの太さの人工毛を作り、フィルムに植え付ける。これにはテイジンさんが協力して下さいました。既存のものでそんな細い針はないので超合金で作るしかない、でもそれを削るものもこの世にはない。精密機械の部品という部品全てをオリジナルで開発するしかないわけです。部品を一つ作っては、これは違うと捨てる、その繰り返しで、本当に辛かったですね」
こうした試行錯誤を何度も重ね、ついに六年の歳月をかけ、二〇〇三年一月に「ヘアコンタクト」が完成しました。
「そっとお金を貯めて隠れるようにカツラを買いに行く、そんなことを一生続けてはいけないし、それに企業がのっかって商売しちゃいけない。必要としていない人が理解するようになれば、必要な人は楽に使えるようになる。いかに気軽に使えるようになるか、そこまで文化を変えてあげなければいけないんです、そこに縁した企業というのは。本当に苦しんでいる人が多いことをこの業界に入ってわかりましたから」
単に外見を見繕うだけでなく、同時に心のケアをももたらすもの-。多くの人に理解してもらうには安くなければいけない、そのために改良を重ね、少しでも廉価で多くの人に提供できるようにしていきたいと語る保知さん。今後も新しい歴史、文化を創造し続けて下さることでしょう。
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